一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-3-02] 機械学習を用いたマンモグラフィ画像の乳腺広がりの評価

*信太 圭一1、中村 舞1、村上 典子4、清水 紀恵5、畑田 俊和4、石井 美枝2、石井 里枝3 (1. 帝京大学 福岡医療技術学部, 2. 岐阜医療科学大学, 3. 徳島文理大学, 4. 北九州市立医療センター, 5. 熊本大学病院)

Mammography, Machine Learning, Mammary Glands

【目的】マンモグラフィの診断に影響を及ぼす手技的因子として,乳腺を十分に拡げる項目がある.乳がんの画像所見の1つとして局所的非対称性陰性(FAD)があるが,ポジショニング時に十分に乳腺が拡げられなかったことにより,偽のFADが描出され精密検査となる偽陽性例が問題となっている.乳腺の拡がりは過去画像を参照し,比較して判断することが多いが,個人によって評価にばらつきがある.本研究では,マンモグラフィにおける乳腺の拡がりについて、機械学習を用いて評価できるか検証した.
【方法】健診施設で撮影されたマンモグラフィでFADが疑われ要精密検査になり,精密検査施設において撮影されたマンモグラフィ44症例のJPEG画像(CC画像:36枚,MLO画像:108枚)を対象とした.計144枚のうち乳腺伸展不良は72枚,乳腺伸展良好は72枚であった.マトリクスサイズ300 x 420 の画像とした.乳腺ならびに乳房表面皮ふが含まれるようにしきい値を設定し、ROIを作成した.ROIに対して、242の画像特徴量を抽出した.データは標準化,特徴ランク付けによる選択の前処理を行った後,検証データ130,検定データ14とし,主成分分析,5分割検証による機械学習を行った.機械学習の種類は決定木など8つの異なる方法を試行した.
【結果】機械学習の結果,2次判別の精度88.46%,AUC:0.89が最も良好であった.【考察】本研究では, 正常例のみで学習さているため,腫瘍等があった場合には,乳腺の広がりを判定できるかの検証が必要である.また,主成分分析のコンポーネントが17と若干多く、特徴量選択の手法を検討し、学習用の特徴量を減らす検討が必要ある.