一般社団法人 日本医療情報学会

[3-I-3-03] 指先毛細血管オプティカルフローによる感染症のスクリーニング手法

*湯田 恵美1,2、金子 格1,3、早野 順一郎4,1、平原 大助1 (1. 東北大学 大学院情報科学研究科, 2. 東北大学 未来科学技術共同研究センター, 3. 東北大学 加齢医学研究所, 4. 株式会社 ハートビートサイエンスラボ)

Optical flow, White blood cell count (WBC), Fingertip capillary vessels, Flow cytometry, Flood flow in the nail cage area

本研究では,指先毛細血管の動画像解析(オプティカルフロー)によって,白血球をカウントすることで感染症のスクリーニングを行うための異常検知手法について検討した.実験では,免疫疾患を有する被験者および健常被験者の指先毛細血管動画像を収集して,検診で得られたフローサイトメトリー法による採血白血球数(WBC)と,オプティカルフローと数理モデルにより推定した値の類似度を検討した.毛細血管のセグメンテーションを行い,白血球の数をカウントした.
 結果,指先毛細血管のオプティカルフロー方式と数理モデルによって,ある程度白血球のカウントを正確に行うことができ,採血白血球数と比較することで,被験者の異常を検知しうる可能性を示唆した.提案手法は非侵襲的で迅速なスクリーニング方法として有望であり,感染症の早期発見や病状のモニタリングに貢献する可能性がある.
 今後の展望としては,より大規模なデータセットの収集や,実際に感染症に罹患した被験者の検証データが必要である.また,さらなる画像解析の精度向上や検出アルゴリズムの改良,臨床的な応用に向けた実証研究が必要とされる.本研究は,指先毛細血管のオプティカルフローを活用した感染症のスクリーニング手法の開発において,重要な一歩となるものである.異常検知の手法としては,主成分分析(PCA)や異常スコアの閾値設定,異常領域の検出などを組み合わせていく必要がある.また,クラス分類器を用いて感染症のスクリーニングを行うことで,高精度な識別を目指していく.