Japan Association for Medical Informatics

[3-J-1-02] タブレット端末を用いた患者問診情報収集と、初診時医師記録作成支援の試み

*Ryuta Shirahama1,3, Yoshiki Kawakita1, Kumiko Banba2, Yoko Kondo3, Hitomi Kabaya3, Teppei Nishii4 (1. 公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター看護部, 2. 同 管理部総務課システム担当, 3. 同 医事課診療情報管理担当, 4. 横浜市立大学 医学部 医療情報学)

Digital Transformation, Tablet Terminal, Medical Questionnaire

【はじめに】Dxを実装して投資費用に見合った実績と業務改善を期待するならば、従来の働き方の見直しを併せて行うことが必要であると指摘されている。昨今流行している電子的問診ツール導入ひとつにしても、大規模な高度急性期病院において経済的妥当性をもって導入効果を最大限に発揮させるためには、様々な工夫が必要である。【方法】当院では電子カルテシステムとしてMegaOakHR(日本電気株式会社)を利用しており、問診票電子化にあたってはMegaOak Template for 問診を導入した。【結果】まずは、診療科ごとに乱立していた問診票を標準化させた上で、受診患者の年齢層が若い生殖医療センターから試験的に運用を開始した。受付でのタブレット端末の準備と貸し出し、患者による情報入力、さらには入力済み端末からの情報出力という一連の流れを、患者誤認防止という安全管理上の観点を重視して試行した。安定的な運用を確認できた後に、テンプレート連携機能を用いた初診時医師記録へと機能を拡げた。初診時医師記録テンプレートを展開すると既取得の問診情報が取り込まれる仕組みであり、医師の診療録作成に費やす負担の軽減を期待した。【考察】部分的導入であり、問診業務に要する時間短縮、初診時記録に際する医師の負担軽減などの効果判定はできていない。一方で、IT機器への抵抗感がない若年層が通う比較的小さな診療科に的を絞ったスモールスタートとし、機能面でも問診票単独からテンプレート間連携へと機能を順次拡充したことで、患者、医療従事者ともに混乱を招かずにDxの恩恵を実感できた。今後は高齢者の多い診療科へ展開し、院外からの事前入力へと発展させたい。【結語】タブレット端末を用いて、患者問診情報収集と初診時医師記録作成支援に取組んだ。診療科の特性を見極めるとともに従来の業務フローの見直しを重視することで、安定的な稼働を実現した。