Japan Association for Medical Informatics

[3-J-1-03] 歯科診療所におけるペーパーレス化推進の課題

*Kimihiko Aoshima1, Minoru Kobori1, Yousuke Kinoshita1,2, Kaoru Tanooka1, Keiko Yamada1 (1. 小山記念病院付属くりやデンタルクリニック, 2. 日本医科大学千葉北総病院歯科)

Electric Dental record, Paperless, Subsidiary Dental Records

【目的】歯科診療所では主に診療記録を歯科用レセプトコンピュータ(以下 歯科用レセコン)に入力し、診療録2号用紙を印刷して診療録を作製している。また、多くの歯科用レセコンにはスキャン機能や非定型文章の作成機能がないため、2号用紙以外の診療補助記録の文章の多くは手書きで作成し、カルテフォルダーに収納している。今後診療記録の電子化及びペーパーレス化を行う上での課題について、開院1年後からの1年間の診療記録を集計し、その結果を検討した。 【方法】2022年1月~12月までの診療録や文章の枚数やカルテフォルダー数をメディア社製歯科用レセコン(WithTM)にて集計した。更に文章を歯科用レセコンで印刷か、手書きか等で分類し、用紙やカルテフォルダーの厚さを推計した。 【結果】1年間に受診した患者数は2,706名、新規カルテフォルダー作成数は1,301名であった。診療録2号用紙の合計印刷枚数は4,881.4枚、その他の歯科用レセコンで印刷が可能な文章は3,723枚、それ以外の手書きの文章やコピーは7,708枚と推定された。全ての用紙は厚さに換算すると146.2cm、新規に作成したカルテフォルダーの厚さは156.1cmと推計された。 【考察】歯科用レセコンが電子カルテとなり、入力された診療録2号用紙や提供文章の写しが電子的に保存できれば1年間で25.4%の厚さが減少すると推測された。だが、更にペーパーレス化により厚さを減少させるには、手書きの診療補助記録の電子化やカルテフォルダーの減少が望まれた。その為にはペン入力やスキャンが可能なタブレット端末での診療補助記録の入力システムが開発され、データを電子カルテに連動させ、保存や印刷が可能とする必要があると思われた。このシステム導入により外部からの文章以外は全て電子保存させてカルテフォルダーを廃止できれば、厚さは94.4%減少すると推測された。