Japan Association for Medical Informatics

[3-J-1-05] 測定結果自動取得バイタルデバイス貸与利用の臨床効果評価

*Takehiro Matsumoto1,2,3, Takuya Kinoshita2, Junichi Sakamoto2, Tetsuya Usui1,4, Tetsuji Otomo1, Ryosuke Ichihashi1, Akemi Tsuji1,5, Kyoko Takaishi1,5, Rika Yamashita1,7, Tomoyuki Nogami1,7, Mayumi Ito1,6 (1. 長崎大学病院 医療情報部, 2. 長崎大学医歯薬学総合研究科 医療情報学, 3. 長崎大学病院 メディカルサポートセンター, 4. 長崎大学病院 検査部, 5. 長崎大学病院 看護部, 6. 長崎大学病院 医事課, 7. 長崎大学病院 口腔管理センター)

EHR, PHR, smartphone, Bluetooth, ePRO

【背景】スマートフォンに無線接続し、計測結果をクラウド経由で把握できるバイタル機器は増えているが、地域医療での利用は普及していない。長崎県のあじさいネットでは、令和4年度地域医療・介護総合確保基金事業として、同機能を持つデバイスを貸与しその効果を評価する実証事業を企画した。
【事業概要】対象施設は公募にて11施設、各々3セットの計33セットを貸与した。セット内容は、①体組織計付・体重計②体温計③血圧計④パルスオキシメーター⑤活動量計である。計測結果は、患者のスマートフォン経由で自動取得でき、インテグリティ・ヘルスケア社のスマートフォンアプリケーション「スマート・ワン・ヘルス」にて結果を閲覧する。
【評価方法】貸与全例に対し、利用開始後6か月、1年および終了時に、患者と医療従事者に対し、それぞれ利用時の負担と本取組みの有益性に関するアンケートを実施した。同時に、利用事例毎の効果を収集した。
【結果】2023年6月時点で5施設、11患者に貸与利用しており、3例の6か月目アンケート結果が得られた。患者の評価は、いずれも有益で負担も少ないとの評価だったが、医療従事者からは、効果は有益であるが、設定の負担が大きいとの結果だった。
【考察】3例、6か月目の評価は、患者、医療従事者ともに本取組みが有益との結果だったが、医療従事者からは、機器設定の負担が指摘された。この3例は、それぞれ、大学病院、離島病院および診療所による在宅医療での慢性疾患利用であったことから、機器設定負担を支援することで、様々な地域、様々な診療場面での有益性が期待できるものと考えられた。今後の症例数の追加により、より客観的な評価と、より有益なユースケースを明らかにする方針である。