一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-2-01] 二次救命処置演習における看護学生の学習経験 ―テキストマイニングによる分析―

*川合 咲穂1、大橋 和貴2、金 絢加3,4、鷲見 尚己2、鈴木 健太郎5、佐藤 三穂2 (1. 東京大学医学部附属病院, 2. 北海道大学大学院 保健科学研究院, 3. 北海道大学大学院 保健科学院, 4. 北海道大学病院, 5. 新潟市民病院)

Text mining, Advanced cardiovascular life support, Educational measurement, Nursing students, Group interview

【背景】心肺蘇生は、主に一次救命処置と二次救命処置(以下, ACLS)によって構成され、中でもACLSは医療従事者が行う高度な救命処置である。その技術は新人看護師にも期待されるが、看護基礎教育課程においてACLSを学ぶ機会は少ない。そこで、本研究は、今後の看護学生に対するACLS教育の示唆を得ることを目的に、ACLS演習を受講した看護学生の語りから学習経験を分析した。 【方法】対象は看護学を専攻する大学4年生とした。プログラムは、動画視聴、個人・全体練習、演習で構成し、演習は看護師役4名、医師役1名で行い、医師役を研究者が務めた。演習後にグループインタビューを行い、逐語録を作成した。頻出語分析および共起ネットワークを用いて看護学生の学習経験を抽出し、内容を解釈した。 【結果】本プログラムを2グループ、計8名が受講した。頻出語分析で20回以上出現した単語(回数)は、人(55)、自分(33)、見る(28)、役割(26)、看護(26)、実際(21)、気道確保(20)であった。共起ネットワークで抽出された6個のサブグラフを[動画による実際の場面の想起が、自身の不足部分への気づきや自信につながる]、[救命処置技術の困難さが看護師免許を持つことへの責任を自覚する]、[救急場面を客観視する]、[救急場面のイメージ化によって救急看護への好奇心が刺激される]、[医療処置における手技の難しさを実感する]、[救命場面で指示を出す]と解釈した。 【考察・結論】本研究は、グループインタビューとテキストマイニングを組み合わせて看護学生の学習経験を定量的に分析した。看護学生は、ACLS演習後に困難感のみならず、看護技術に対する自信の獲得や好奇心の刺激、責任の自覚といった主体的な学びのきっかけとなる前向きな学習経験を持っている可能性が示唆された。