Japan Association for Medical Informatics

[3-J-2-02] 地域包括ケアシステム内の看護職間の情報共有について―看護サマリーに焦点を当てて―

*Haruka Okabe1, Masako Shomura1, Masamichi Ogura1, Daisuke Sakurai1, Shinya Aoki2, Hideaki Matsuki1, Mitsuko Nakashima3 (1. 東海大学医学部, 2. オリーブ訪問看護ステーション・二宮, 3. 東京医療保健大学東が丘看護学部)

integrated community care system, nurse, information sharing, nursing summary

【目的】本研究は、本邦で患者・利用者が他施設に移る際、看護職によって記載されたサマリー(看護サマリー)の記載内容の実態を明らかにすることを目的とした。 【方法】対象は急性期病院(急性)、慢性期病院(慢性)、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)、訪問看護ステーション(訪看)において患者・利用者が他施設へ移動する際に付帯する看護サマリー各10部、計50部とした。調査方法は看護サマリーの記載内容を研究者独自で作成した用紙にて収集した。調査内容は看護サマリーの項目にある経過、継続看護、日常生活動作(ADL)等である。分析は項目毎の単純集計と記載率を算出すると共に、自由記載欄はテキストマイニング「KH corder 3」により質的に分析した。 【結果】看護サマリーの項目毎の全体の記載率は60~100%であった。施設別では、急性は100%、慢性は特記事項60%、手術・術式70%、感染症・アレルギー90%であった。訪看は既往歴90%、老健は年齢・経過・特記事項80%、特養は失語・内服・視力障害・褥瘡70%、急変時・聴力障害・最終入浴80%、意思疎通・経過90%であった。自由記載欄の文字数の平均は142.5であった。項目毎の文字数の平均は、急性が経過435.5、継続看護143.2、慢性は経過330、継続看護276.7であった。訪看は経過421.7、継続看護131.6、老健は経過400.8、ADL594.6、特養は経過561.9、ADL393であった。 【考察】看護サマリーの項目の記載率や文字数は同じ項目でも施設間で数値や内容に差があった。経過は医学的な内容から社会的生活内容にまで多岐にわたり、記載内容にばらつきがあった。看護サマリーの項目と内容を整理し、受け手にとって必要な内容を包含した情報を書き手が正確かつ簡便に記載できる仕組みづくりが喫緊の課題であることが示唆された。