Japan Association for Medical Informatics

[3-J-3-01] 医薬品副作用データベースJADERを用いたシグナル検出アプリケーションJADER Hinweisの開発

*Sena Ishida1, Reina Akinaga1, Chihiro Iijima1, Rio Akadegawa1, Shoma Sato1, Akira Yoshida1, Shinji Oshima1 (1. 城西大学薬学部)

JADER, Adverse drug reaction, Web application

【目的】独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用データベース(JADER)には、医薬品の有害事象報告が収録されている。近年、データマイニング手法によるJADERからのシグナル検出に関する学会発表・論文投稿が増加しており、医薬品の安全性監視活動に寄与している。しかしながら、JADERを使用する際には、例えば、医薬品の記入名が統一されていない問題があり、研究者が時間をかけてデータクレンジングを施す必要がある。また、JADERのような大規模データのハンドリングは、Excel等の一般的な表計算ソフトで行うことが困難である。そこで筆者らは、これらの問題を解決し、研究者が簡便に利用できる新たなシグナル検出アプリケーションの開発を目指した。 【方法】開発にあたって、JADER(2022年6月版)を用い、まず、データクレンジングを実施した。データクレンジングには、医薬品名の表記揺れの修正や、有害事象の発症とは関連の無い(発症日が服用期間から離れている)医薬品データの削除などが含まれた。アプリケーションの開発はR言語のShinyパッケージを用いて行った。このWebアプリケーションはJADER Hinweis(ヒンヴァイス)と命名され、a)加齢や多剤併用の影響度を考慮した有害事象の分類・検索機能、b)有害事象ごとの詳細データの閲覧・ダウンロード機能、c)報告オッズ比(ROR)の計算機能が実装された。 【結果と考察】このアプリケーションの有用性を検証するため、特にc)の報告オッズ比(シグナル指標)について、既報3報の追証を行なったところ、それぞれの報告と一致する結果を得た。このアプリケーションを用いることで、簡便なGUIの操作だけで、医薬品の副作用シグナルを検討することが可能になる。今後は、複数の医薬品の相互作用を含めたシグナル検出機能を実装する予定である。