Japan Association for Medical Informatics

[3-J-3-02] 医療縮約表現の語構造と意味
-医療記録に含まれる句や節に相当する合成語の分析-

*Kaoru Sagara1 (1. 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科)

Medical contracted representation, Word structure analysis, semantic classification, Medical compound words

医療記録には、「両鼓膜チューブ留置」や「本日右眼OP」のような句および「主語+述語(SV)」の構造を持つ合成語が含まれるが、これらの実態調査はほとんど行われていない。 そしてこれらの合成語を構成する語(語構成要素)と医療の観点からみた意味の対応関係、「両(位置)」「鼓膜(身体部位)」「チューブ(機器)」「留置(医療行為)」が分かれば、少ないリソースで意味解析・推論が可能となる。すなわち、個々の病院内や診療科内で蓄積された医療記録の意味解析が可能となる。 そこで本研究では、医療記録に含まれる合成語の内、助詞などの接続表現が縮約された句や節に相当する合成語を「医療縮約表現」と名付け、これらの語構造と意味の分析を行っている。そして得られた語構成要素と意味ラベルの対応関係をまとめ、医療縮約表現の語彙試案表として公開する予定である。 具体的には、語末要素が「抜糸」や「穿刺」などのサ変動詞語幹、「染み出し著明」の「著明」や「グル音良好」の「良好」などの形容動詞語幹、「圧迫止血中」の「中」や「発赤程度」の「程度」などの副詞可能名詞である縮約表現5,690種から、語末要素が異なる822種を選定し語構造解析と意味分類を行っている。 本発表では、これらの分析結果と意味ラベルを導入した本研究の意義について述べる。