一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-3-03] 多次元時系列構造化手法を用いた診療経過パターン抽出
-DWH、BIツールを活用した検出プロセスの半自動化の検討-

*石井 晃1、齊藤 敦子1、鈴木 英夫2、本多 正幸1、鈴木 隆弘1 (1. 千葉大学医学部附属病院企画情報部, 2. SDMコンソーシアム)

time sequential data model, clinical database, business intelligence tools

本研究は、標準的な診療パターンの検出プロセスの確立を目標に、より客観性を担保するため、DWH、BIツールを活用し半自動で診療パターンの創出を試みるものである。
 第一段階として、脳出血を対象とし、手動で診療データを時系列かつ多次元に構造化して表示することにより、標準的な診療パターンを検出することができた。しかし、作業が非効率であること、主な診療要素として選択した項目が、他疾患においても有効であるかの検証の必要性などが課題となった。この対策として、病院情報システムのDWHから、診療データを半自動的に抽出する方法を考案し、急性心筋梗塞に適用した結果、作業の効率化に関しては、顕著な効果が示された。
 しかしながら、選択した診療6要素である、病名、画像、手術、注射、処方、検体検査のフィルター条件は、医師、薬剤師が臨床的に選択していたため、客観性を担保するという課題が残った。
 今回の研究では、診療パターン抽出に関して客観性を担保するため、これまで経験的に設定していたフィルター条件設定の自動化に関する研究を行った。具体的には、病名や入院などを条件指定して検索された症例に対して、その他の診療要素の主要項目に関するヒストグラムにより、上位項目を選択条件とする方法を検討した。ヒストグラム作成にあたり、手術における術式、画像における検査種別、注射と処方における薬品名、検体検査の項目名を用いて評価した。典型的な症例には特定の診療要素が適用されている頻度が高いことを考慮したためである。
 今回の発表では本手法の適用結果、半自動処理による精度に関して報告するとともに、その有効性の検討と課題に関して考察する。