[3-J-3-05] ワクチン接種後の副反応疑い報告に関する調査: 大学生における発症割合の集計
COVID-19, COVID-19 vaccine, Adverse drug reactions
【目的】2021年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に際し、ワクチン接種が開始された。ただし、接種後の副反応疑い症状の報告は限られており、我が国では特に若年者の報告が少ない。そこで、埼玉県の城西大学・日本医療科学大学では、2021年から2022年にかけて、3回に亘るCOVID-19ワクチン職域接種を実施すると同時に、接種後の副反応疑い症状の調査を行った。本研究では、大学生および大学関係者に向けた情報提供を目的として、調査の解析結果について報告する。 【方法】調査は、城西大学および日本医療科学大学でのモデルナ社製COVID-19ワクチン職域接種希望者を対象に行われた。対象者は、研究への同意取得後、ウェブフォームから匿名で回答を行った。回答項目は、人口統計学的データ、既往歴の有無、接種日から8日目までに生じた副反応疑い症状の有無とした。副反応疑い症状は、先行研究に基づいて局所症状(痛み、赤み、腫れ、かゆみ)と、全身症状(倦怠感、頭痛、筋肉痛、寒気、発熱、関節痛、吐き気、下痢、腹痛)に分類した。データ収集後、局所症状・全身症状の発症割合を解析した。 【結果と考察】大学生・大学院生の回答2640件を解析対象とした。集計の結果、局所症状・全身症状ともに、接種回数に関わらず、接種翌日の発症割合が最も高かった(接種1回目、局所症状88.4%・全身症状84.8%、接種2回目、局所症状93.3%・全身症状98.3%、接種3回目、局所症状88.2%・全身症状90.2%)。さらに、ロジスティック回帰分析の結果、局所症状・全身症状ともに、女性の方が発症割合が高く、また接種2回目の発症割合が他の回よりも高い傾向が示唆された。我が国における新型コロナウィルスワクチンの位置づけについては今後変遷する可能性もあるが、本報告が大学生および大学関係者における保健衛生の一助となれば幸いである。