一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-5-02] ePathの概要とその活用、効果について

*中熊 英貴1、小妻 幸男1、山下 貴範2、若田 好史3、的場 哲哉2、松木 絵里4、船越 公太2、戸高 浩司2、中島 直樹2、岡田 美保子5、副島 秀久1 (1. 社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院, 2. 九州大学病院, 3. 独立行政法人国立病院機構九州医療センター, 4. 慶應義塾大学病院, 5. 一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)

ePath, Clinical pathways, repository, Reducing Clinician Burden, Decentralized Clinical Trials

2018年10月より、AMED事業「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」(以下、ePath)を進めてきた。ePathで実現した事例について報告する。
ePathで標準パスシステムの開発、標準データリポジトリおよび解析基盤の構築を行った。標準パスシステムは大手4ベンダーに実装し、標準パッケージ化の検討も進められ、すでに3ベンダーで実装されている。特筆すべきは、アウトカムが達成されなかった際の記録として、テンプレートが起動する仕組みである。テンプレートは構造化することで、より精緻なデータ収集も実現できる。標準データリポジトリにはパスデータやDPCデータ、SS-MIX2データが格納され、解析することで、パスの改定を加速できた。ePathからRCB事業(医療者の業務負担軽減)、DCT事業(分散型臨床試験の基盤構築)が展開された。RCB事業では、ePathで構築した基盤を活用し、①アウトカムをまとめる、②適正値を変更する、③日数を短縮する、④評価回数を削減する、を実施し、医療者の業務削減が実現できた。さらに、ICTを含めた削減シミュレーションの結果では、医師はPCIパスで約9.0%、カテーテルアブレーションパスで約11.6%の時間が削減可能となった。DCT事業では、ePathで構築した仕組みを活用し、治験で使用する電子的なワークシート(以下、eWS)を作成した。ePathで定義したOAT Unitに倣い、ドメインやラベルを設定し、値もテンプレートなどを活用し、入力可能とした。eWSに入力されたデータはEDCまでアップロードできるため、原資料の一括管理やデータ転記による入力ミスの削減に繋がった。
今後も医療の質向上のため、ePathの利活用促進や普及、改善について、継続的に活動していきたい。