Japan Association for Medical Informatics

[3-J-5-05] 臨中ネットにおけるSS-MIX2データのバリデーションの有用性に関する検討

*Naoki Nakamura1, Shiho Ito1, Chong Song1, Akemi Morohashi2, Satoshi Yamashita2, Takahiro Imaizumi2, Hideki Ota1 (1. 東北大学病院, 2. 名古屋大学病院)

SS-MIX2, Real World Data, Data Validation

電子カルテに蓄積されているデータをリアルワールドデータとして活用するためには、データの品質の維持管理は極めて重要である。臨床研究中核病院で構成される臨中ネットでは、名古屋大学病院が開発したバリデーションツール(以後、本ツールとする)を活用し、SS-MIX2データの品質の検証作業(以後、バリデーションとする)を行ってきた。各々の病院では、電子カルテのデータおよびSS-MIX2のトランザクションストレージ(以後、TRとする)を用いて、検証対象の期間をおおむね1カ月間に絞り、バリデーションを実施してきた。本ツールを実行することで、データ項目の一致件数、一致率、不一致カ所を把握・検出し、データ修正が必要と判明したデータを再出力するというサイクルを繰り返すことで、データの品質の向上が期待される。一方、これら作業は、全患者かつ全期間を対象として実施してないため、データの品質の正確性の正しさを判断することは困難であった。

そこで、対象期間を限定するのではなく、全期間を対象とするバリデーションを試みることにした。臨中ネットで行われている実際の臨床研究でデータ抽出された東北大学病院の患者(7300人)のSS-MIX2ストレージのコンディションフラグ1のファイルから、対象患者の全期間分のTRを自前で作成し、バリデーションを実施した。その際、データ量が多い種別(注射、検体検査、処方、食事)の場合には、対象患者を複数のグループに分割し、複数回に分けてツールを実行することで、全期間を対象にバリデーションを実施することができた。

今回のバリデーションの結果では、対象期間を限定した従来の結果とおおむね同様の傾向を示していたが、これまで検出されていない結果も含まれることが判明した。本稿では、これら結果の分析を通して、今回およびこれまで実施されてきたバリデーションの有用性について考察する。