一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-6-01] 新たな情報ツールを用いた災害時における緊急連絡体制の検討

*青木 勇樹1、山尾 真貴子1、柏原 道志1、矢部 勝茂1 (1. 聖隷浜松病院 薬剤部)

Disaster, Network, Information transmission

背景・目的
災害時には安否確認や緊急召集など、迅速な連絡および情報共有が不可欠であり、当院では緊急連絡方法として電話連絡網や安否確認システムのANPIC®を採用している。しかし、実際に訓練を行うと電話連絡網は電話が繋がらず途切れる事態が発生し、ANPIC®は安否確認以外の返信機能が存在しないなどの問題が明らかとなった。そのため、災害時に迅速かつ簡便に連絡を行う体制の構築を目指し、新しい連絡ツールを検討した。
方法
電話やANPIC®以外の緊急連絡の方法として、新たにGoogleフォーム・グループメールとLINEグループチャットの2つの方法で緊急連絡網を作成した。薬剤部職員の93名に対して従来のANPIC®と新たな2つの連網網で緊急連絡を実施し、それぞれの連絡網で連絡後1・2・3・4・5・24時間後それぞれの返信率を比較した。
結果
各連絡網において連絡を実施してからの1時間後の返信率はANPIC®は17%、Googleグループメールは18%、LINEグループチャットは43%であった。24時間後の返信率はANPIC®は79%、Googleグループメールは61%、LINEグループチャットは99%であった。
考察
国内では個人間の情報伝達基盤はLINEが浸透しており、LINEグループチャットがすべての時間帯で返信率は最も高かった。新たに検討した2つの連絡網は電話連絡網と異なり個人情報が秘匿されていたが、Googleフォーム・グループメールは部員の返信内容の確認・集約が管理者アカウントのみ可能であり、情報共有が不十分であった。そのため、近年に誕生したLINEグループチャットが連絡と全体での情報共有を同時に行える最も有用な緊急連絡方法と考えられる。ただし、災害時には通話のみ可能な状況も想定されるため、複数の緊急連絡体制を維持して定期的に訓練を行うことが災害時の対応に不可欠と考えられる。