Japan Association for Medical Informatics

[3-J-6-03] 島根県における地域医療情報連携ネットワーク活用の状況

*Shinya Matsumoto1, Tarou Tamura1, Kaori Taniguchi1, Yuuji Mishima2, Hiroaki Sugiura3,4, Shinji Kosaka3,5, Kiwamu Nagoshi1 (1. 島根大学医学部, 2. 株式会社テクノプロジェクト, 3. NPO法人 しまね医療情報ネットワーク, 4. すぎうら医院, 5. 島根県立中央病院)

Regional Health Information Exchange Network, Power law distribution, home medical care

【目的】「まめネット」は島根県の地域医療情報連携ネットとして2012年に稼働を開始し10年が経過した。登録された医療機関は千件超、利用登録された個人カードは7万件超となるなど、利用は順調に拡大している。今回、その活用の状況の可視化を目的とした調査を行った。 【方法】「まめネット」の機能のうち、連携カルテ機能のアクセス状況を2021年10月1日から2023年3月31日の18か月間記録した。このうち、①2021年10月1日から2022年3月31日と②2022年10月1日~2023年3月31日の二つの期間のアクセス状況を比較した。 【結果】①においては、アクセス件数210,153件であった。これに対し②においては、アクセス件数319,851件となり、5割を超える増加となった。それぞれの期間で医療機関ごとのアクセス数を、横軸を順位、縦軸をアクセス数の対数とするグラフを作成すると、ランキング上位と下位のごく一部を除くといずれも直線的な関係を示した。 【考察】アクセス数のランキング上位に位置する医療機関は、「まめネット」を推進する一部の医療機関で、ランキング下位に位置する医療機関は、アクセス数が整数で表されることによる限界であると考えられ、べき乗分布の特徴が存在した。べき乗分布は自然発生的な複雑系においてよく現れる確率分布である。両期間において何らかの介入によって増加したのではなく、全体として増加したと考えられる。近年、在宅医療を行う医療機関が増加しているのに加え、新型コロナウイルスの患者、感染者の在宅療養が急増したことが、「まめネット」のアクセス件数の急増に関係している可能性がある。