Japan Association for Medical Informatics

[3-J-6-04] いま問われる地域医療連携ネットワークの真価
-事例から見るネットワークの存在意義について-

*Keisuke Ido1, Naoki Nakamura1, Hideki Ota1, Teiji Tominaga2, Hiroaki Shimizu3 (1. 東北大学病院, 2. 東北大学, 3. 秋田大学)

Health Informaiton Exchange, Chronic Kidney Disease, Hospital and community pharmacists collaboration

宮城県の各医療機関では、オンライン資格や電子処方箋の環境整備が優先的に進み、地域医療情報ネットワークの利活用に関しては若干、消極的な様子が窺える。みやぎ医療福祉情報ネットワーク(Miyagi Medical and Welfare Information Network : MMWIN)は運用開始から10年が経過し、一定の実績を残してはいるものの、費用対効果を重視されている各施設の多種多様な要求に対し、医療・介護それぞれの施設形態やニーズに合致したサービスを提供しながら事業を継続するには多くの課題を抱えているというのも事実である。このような状況下において、昨今のコロナウイルス感染症の感染抑制対策としてMMWINを活用した軽症者宿泊療養施設の診療情報の連携が報道等で取り上げられ、地域医療情報ネットワークが現に活用できる可能性が示された。コロナ禍における医療DX化の流れを受け、2022年度には宮城県循環器病対策推進計画に準じ、脳卒中地域連携パスの最適化や重症心身障害児(者)のネットワーク化構想が積極的に展開されている。そのほかにも、慢性腎臓病(CKD)重症化予防対策や患者のための薬局ビジョンといった国の施策とも連動する、施設間連携のツールとしてMMWINは新たなフェーズへと動きだしている。いずれも現時点において、県内全域に跨るほどの規模ではないが、医療・介護従事者主導の下、地域に根差し、診療に寄り添う利活用が緒についたといえる。
 本稿では、これらの事例の紹介を通して、現行の地域医療連携ネットワークの存在価値や特異性を示し、近い将来に求められるであろう役割やあり方について考察する。