Japan Association for Medical Informatics

[3-J-6-05] ICTを利用した糖尿病医科歯科連携パスの構築

*Rika Yamashita1,2, Tetsuya Usui2,3, Norio Abiru4, Akie Kamada5, Emi Morita1, Yuriko Mine1, Tomoyuki Nogami1,2, Takashi Ukai1, Takehiro Matsumoto2,6 (1. 長崎大学病院口腔管理センター, 2. 長崎大学病院医療情報部, 3. 長崎大学病院検査部, 4. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科内分泌代謝内科学, 5. 長崎大学病院糖尿病診療支援センター, 6. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療情報学)

diabetes mellitus, periodontal disease, medical and dental collaboration path

歯科疾患は多くの全身疾患との関連が広く認識されている。なかでも歯周病と糖尿病に関する報告は多く、両疾患には双方向的関連が考えられており、糖尿病患者には歯周治療が推奨され、歯周治療にも糖尿病管理の徹底が必要とされている。両者の連携手段としては、全国保険医団体連合会や日本糖尿病協会が発行する「連携手帳」が存在するが、紙媒体であり、糖尿病のコントロール状況と歯周病の状態の正確な確認は容易でなく、活用状況も不明である。
 一方、政府は、国民に毎年の歯科健診を義務付ける「国民皆歯科健診」の導入を目指しており、全身の健康と口腔の健康の関連についての科学的根拠、中でも歯周組織の健康維持が全身疾患の発症や進行を予防できるという明確なエビデンスが求められている。
 そこで我々は、長崎地域医療連携ネットワークシステム「あじさいネット」のオンライン型地域連携パスに「糖尿病医科歯科連携パス」を構築した。このパスでは、診療所の外注検査データと情報提供病院の全検査データを共有できる検査データ共有システムを併用して糖尿病関連の検査結果を自動取得でき、手入力した歯周病関連の検査結果と同時に時系列でグラフ表示させ、相互の関係を目に見える形で表現できる。歯周病関連では、評価指標としての使用が推奨されている歯周炎症表面積(PISA)に加え、現在歯数、口腔清掃状態、ポケット上皮表面積、歯肉出血指数、歯周ポケット4mm以上の割合、口腔内細菌数、咀嚼能力の入力および口腔内写真等の画像の登録・閲覧が可能である。2022年6月からパスの運用を開始し、改修を重ね、本格運用の準備が整ったことから、今回は本システム概要ならびに利用例について報告する。
 現時点での運用例は5例であるが、今後は利用を拡大して医科歯科連携の推進に繋げるとともに、データを収集・分析して歯周治療が糖尿病のコントロールに及ぼす影響を数値化し、明確にする予定である。