一般社団法人 日本医療情報学会

[4-A-1-02] 診療報酬改定DXのめざすもの

*島添 悟亨1 (1. 厚生労働省 保険局 診療報酬改定DX推進室)

2年に1度の診療報酬改定に伴い、施行日の4月1日に向けて、各医療機関等においてはレセプトコンピュータの改修が非常にタイトなスケジュールの中で行われている。
また、施行後初めて診療報酬請求を行う5月10日までに、国から示される疑義解釈等を読み解き更にシステム改修を行うなど、請求額の適正化に対応する必要も生じている。
これがデジタル分野の人材不足と相まって、現在、各医療機関等や各ベンダの労務上の負担過多な状態を招いており、ひいては、医療機関等のシステム改修コストに影響を与えている。
こうした背景の中、政府方針の下、医療DX工程表に基づき、進化する最新のデジタル技術を活用して、医療機関等の間接コストの極小化をめざし、①共通算定モジュールと標準型レセプトコンピュータの開発・提供、②共通算定マスタ・コードと電子点数表の改善、③標準様式のアプリ化、④診療報酬改定施行時期を後ろ倒し等をテーマとする「診療報酬改定DX」について、行政と関係業界が一丸となって取組を進めている。
共通算定モジュールについては、令和7年度のモデル事業を経て令和8年度を目途に本格提供を予定しており、病院の医科(外来・入院・DPC)を中心に取組を始め、令和10年度を目途に共通算定モジュールや電子カルテと疎結合する標準型レセプトコンピュータの提供を開始し、診療所(医科・歯科)、薬局、訪問看護・介護、自動車賠償責任保険、労働災害補償、公害健康被害補償へと将来的に拡張することとしている。
また、共通算定モジュールは、公費や地方自治体による医療助成制度(地単公費)も適用して、正確に患者負担金を計算できるようにするため、公費や地単公費のオンライン資格確認とも連携して取組を進めている。
更に、地単公費の全国的な現物給付化、併用レセプト請求方式への統一とともに、紙の上限管理票を廃止することを視野に入れて検討を進めている。