一般社団法人 日本医療情報学会

[4-A-1-03] 次世代医療基盤法による医療ビッグデータの利活用の更なる推進について

*日野 力1 (1. 内閣府 健康・医療戦略推進事務局 参事官)

我が国の保健医療分野の発展のため、医療機関等に蓄積された医療情報の研究分野での利活用が強く期待されているところ。政府としては、利活用に向けた環境整備の一環として、2018年に施行された次世代医療基盤法の下、個人情報の保護を図りつつ医療情報をビックデータ化し研究開発に利用する仕組みを設けている。同法は個人情報保護法の特例法であり、情報セキュリティ等に関する国の厳しい審査を経て認定された事業者に対して医療情報を提供する場合は、本人同意ではなく、丁寧なオプトアウト手続きによる提供を可能とし、匿名加工の技術を用いることにより、個人情報の保護と医療ビッグデータの研究等への利活用の促進を両立させ、新薬の開発、医療技術の向上などを目指している。 本年5月末の時点で、次世代医療基盤法に基づき、3つの認定事業者が約110の医療機関等から合計260万人分を超える医療データを収集し、22の研究に利用されるなど、着実に成果につながってきているが、さらなる進化が期待されている。 一方で、同法については2018年5月に施行されてから5年が経過しており、医療情報の利活用の更なる推進に向けて、①匿名加工医療情報に加えて、仮名加工医療情報の利活用に係る仕組みを創設すること、②NDBなどの公的データベースと匿名加工医療情報との連結解析を可能とすること、③医療情報提供等による施策への協力に努めること等を内容とした、改正次世代医療基盤法が本年5月に成立した。 本演題においては、次世代医療基盤法の現状と、改正法の概要について述べる。