一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-1-01] 電子処方箋とその課題―今、医療現場では―

*池田 和之1 (1. 奈良県立医科大学附属病院)

電子処方箋管理サービスは、本年1月から全国展開されている。この間、モデル地区を中心に複数の施設で電子処方箋への対応が行われ、3月には電子処方箋のモデル事業に関する中間報告も示された。電子処方箋への対応施設も5,625施設(令和5年7月23日現在)まで増加している。今後、厚労省の計画では、この電子処方箋への対応施設の目標としてオンライン資格確認等システムを導入した施設のうち、令和5年度内に9割程度、令和6年度内に概ね全ての医療機関及び薬局の導入を目標とするとも示されている。
 昨年度の本共同企画「運用直前 電子処方箋をめぐる諸課題を考える」では、モデル地区での運用が開始されたばかりの電子処方箋に関連し、HPKIカードの取得に関する事項や処方情報の閲覧に関する事項、システムの稼働検証に関する事項、マスタ管理に関する事項など様々な懸念が共有された。また、3月公開された「電子処方箋のモデル事業に関する中間報告」では今後の課題と方向性として、事前準備に関する内容として作業や運用の周知、接続テストの実施、マスタの整備、調剤時の処方箋参照方法など、運用開始後として電子署名の運用、応需薬局の確認、患者への周知、お薬手帳の連携、対象処方箋や患者の拡大等が示されている。
 このように示された課題に対し、この1年で何が解決され何が課題として残り、また何が新たに発生したのかなどを検討・共有し、今後運用を進める施設が円滑に電子処方箋を運用できるようにするための参考としいただきたい。