一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-1-04] 電子処方箋の更なる発展・普及推進に向けた課題とその改善策

*井出 大介1、上野 有輝1、小城 正士1、徐 楽1 (1. 日本アイ・ビー・エム株式会社)

電子処方箋の運用開始から早くも1年近くが経過しようとしているが、普及率は当初の目標に対し、大きく届かない状況が続いている。導入に際しては慎重な意見も多数あり、今後の更なる発展・普及推進を進めていく上では、こうした「漠然とした不安感」をひとつひとつ払拭していく必要がある。そのためには、先行する導入事例において発生している課題を明らかにし、その対応と改善策について、関係者間で十分に共有・協議を進めていくことが非常に重要である。

一方で当該施策において「課題」とされるものについては、電子処方箋の施策全体に関わるものや、薬局・診療所・病院それぞれで抱えるものなど粒度が異なり、また課題の内容も運用に関する課題や技術的な課題など多種多様である。これらの課題解決においては、病院やベンダーが単独では解決ができないものも多く、行政や地域の薬局など、様々な関係者と歩調を合わせて対策を進めていく必要がある。こうした組織を跨いだ取り組みは、これまでの病院情報システムの導入・運用とは大きく性質が異なる点でもあり、当該施策の普及推進を困難にしている要因の一つでもあると考えられる。

本発表では、主に電子カルテベンダーの立場から、電子処方箋の導入・運用で発生した具体的な課題や改善策について報告・共有することを予定している。当社では600床を超える大規模病院に対し複数の導入実績があるため、特に大規模病院における一般的な導入プロセス(必要となる作業や導入期間など)や、施設の特性や課題に応じたカスタマイズ事例、導入・運用時の注意点などついても触れていきたい。今回の発表を通じて、前述の「漠然とした不安感」を解消し、今後の電子処方箋の更なる発展・普及推進に寄与できることを期待している。