Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-02] ウェアラブル・IoT 機器を用いたデジタルバイオマーカー開発の実践的取組み ~関節リウマチAMED 研究等の実際~

*泉 啓介1,2,3 (1. 株式会社テックドクター, 2. 慶應義塾大学医学部, 3. 東京医療センターリウマチ膠原病内科)

 関節リウマチ(RA)は全身の関節腫脹や疼痛、全身倦怠感等の症状が持続し、不可逆的な関節破壊から身体機能の障害をきたす疾患で、これらの症状は日々変動し、また症状は他覚的に捉えられないため、患者は診察時以外の自身の状況を正確に主治医に伝えることが難しい。体調維持には関節運動や筋力維持が必要な一方で、身体負荷は関節炎の増悪因子となるため、適度な身体負荷の判断が難しいという課題がある。加えて、気圧の変化や気温などの気象条件、うつ状態や不安、睡眠障害などと関節症状は関連することが知られている。そこで、我々は、腕時計型ウェアラブルデバイスや環境センサー等が、RA の症状や病勢と関連するかを検討した。腕時計型ウェアラブルデバイスによって取得される日々の身体活動量、睡眠状況、心拍変動等のデータや、環境センサーから取得される気温、気圧、照度、紫外線指数、騒音といったデータ、公開API から取得される自宅付近の気象情報、研究チームが開発したPRO 記録スマートフォンアプリ「きょうのカンセツ」によって取得される患者自身の症状記録、医療機関での診察、採血データなどのEDC 情報などが匿名化されたうえでテックドクター社のクラウドプラットフォームSelfBase に蓄積される。これら大量の医療関連情報を扱うシステムにも焦点を当て、ウェアラブル・IoT 機器を用いたデジタルバイオマーカー開発の実践的取組みを紹介する。