[4-B-3-02] 製薬企業から見たRWD/RWEへの期待
GCP Renovationの初めの取り組みとして、ICH E8(R1)が2022年12月にStep5に至り、国内においても「臨床試験の一般指針」として発出された。その中では、幅広い臨床試験のデザインとデータソースを考慮しつつ、臨床試験における質の設計について触れられている。続くE6(R3)についても、本年7月から国内において「医薬品の臨床試験の実施基準」ガイドライン案としてパブリックコメントが開始されている。これらの中では、RWD/RWEの利活用についても意識されており、今後の医薬品等の開発を含むライフサイクルにおいて重要な役割を担うことが想像できる。改正次世代医療基盤法においても薬事申請を視野に入れた形で改正が行われ、今後我々が如何に医療データを無駄なく安全に且つ有効に活用するかが重要なポイントになってきている。 そのような背景の中、臨床研究中核病院による「Real World Evidence創出のための取組み」いわゆる「臨中ネット」の検討が進められている。臨中ネットの取り組みの一つとして病院情報システム内の医療情報データの標準化を図り、そのデータを研究等にも利活用できる体制整備があげられる。日本の臨床研究・臨床試験を牽引する臨床中核病院によるこの取り組みは、医療データの有効活用を推進していく観点から、製薬企業のみならず日本国民にとっても非常に重要な取り組みと考えている。しかしながら、標準化や利活用可能な体制への実現には多岐に渡る課題が想像できる。課題を克服するためには、産官学が協力・連携をとっていく必要があると考えており、製薬企業側から見た課題と今後の期待などについて今回触れさせていただきたい。RWD/RWEを薬事活用に用いるなど有効に利用できる姿の実現に向けた前向きな意見交換をしたい。