Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-03] データ駆動型経営における病床機能報告データの活用

*Koichi Benjamin Ishikawa1 (1. International University of Health and Welfare)

NDB、DPC調査や患者調査等の診療実績データと人口推計データを組み合わせた分析により、地域の医療需要の動向や自院のシェアへの理解は深まり、医療機関のアウトプットとしての診療の量に関する目標の設定と管理は新たな次元に入りつつある。その一方でアウトプットを生み出すために必要となる診療資源、特に人的資源についての検討はあまり進んでいないのが実態である。
こうした状況の中で、2016年より開始された病床機能報告により、病院における医療専門職の勤務状況についての調査が実施され、オープンデータとして公開されている。このデータでは、職種別、常勤/非常勤別の常勤換算職員数について、施設全体および各病棟、手術室、外来部門といった部署別の内訳が示されており、病床数、入退院患者数・延べ入院日数といった病棟の状況や、手術、救急、看取りなどといった病院の診療機能についての実績データとあわせた分析が可能となっている。
各医療機関の経営において専門職員の確保が大きな課題であることはいうまでもないが、我が国では2024年度からの医師の時間外・休日労働の上限規制の開始という短期的な制約とともに、2030年代の団塊ジュニア世代の高齢化に伴う生産年齢人口の縮小という長期的な社会変化が想定されており、医療従事者の効果的な配置と効率的な業務の推進は地域における医療提供の持続可能性を考える上でも重要な課題である。本演題では、データ駆動型医療経営における人的資源のマネジメントにおける病床機能報告データの活用について紹介する。