[4-C-3-02] 製薬会社が開発するDigital Therapeutics(DTx)
アステラス製薬は、医療医薬品(Rx)事業で培った強みをベースに、最先端の医療技術と異分野の技術を融合させることで、科学技術の進歩を患者さんの価値に変えることを目指している。治療にとどまらず、診断・予防等を含めたペイシェントジャーニー全体においてRxでは満たせないソリューションを提供し、単独で収益を生み出す事業創出に取り組んでいる。アステラス製薬は、Welldoc社が開発した糖尿病を対象としたデジタルヘルス製品であるBlueStar®を日本向けに改変している。BlueStar®は、成人1型および2型糖尿病の治療を支援する製品であり、米国において2010年にFDAのクリアランスを取得している。BlueStar®は、患者さんの血糖値等のデータを自動で記録、保存、転送したり、生活習慣等を追跡したりすることにより、個々に即したガイダンス等を提供し、糖尿病の自己管理等を支援する。日本へのローカライズに際しては、英語から日本語への単純な翻訳にとどまらず、日本における糖尿病のガイドライン、医療環境ならびに文化的背景を考慮し、日本人における効果が期待できるように改変している。また、日本においては、BlueStar®をロシュDCジャパン社のアキュチェックガイドMeとの「組合せ医療機器」として日本で開発・商業化するため、同社とパートナーシップ契約を締結した。今後、血糖自己測定器との「組合せ医療機器」としてBlueStar®の薬事承認・保険償還を目指していく。アステラス製薬は、2023年度中に組合せ医療機器の臨床試験を開始する予定である。今回、これまでの検討を通して経験した課題や考察を報告する。