一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-3-03] 治療アプリを用いたスマート療法

*佐竹 晃太1,2 (1. 日本赤十字社医療センター、2. 株式会社CureApp)

デジタルヘルスは医療、看護、健康管理を含むヘルスケアの全領域での情報通信技術の活用を包括的に示す概念である。特に疾患の診断、治療、予防など医療分野に特化したデジタルヘルスをデジタル医療と称し、そのうち疾患治療に注力する領域をデジタル療法と呼ぶ。デジタル療法ではアプリをスマートフォンなどの汎用デバイスにインストールし、「治療アプリ」として疾患の治療に活用する。

治療アプリを臨床の現場で導入するメリットの一つとして、自宅での介入が可能なことが挙げられる。患者に対する疾患に関連する知識の提供と行動変容の促進は、生活習慣病や精神疾患において特に重要であるが、多忙な医療現場において医療者が一人の患者と対峙できる時間は限られていることから、必ずしも十分になされているとは言えないのが現状である。治療アプリがスマートフォンなど患者がいつでもアクセス可能なデバイスにインストールされていれば、これまで医療機関でのみ可能であった患者教育が日々の生活の中でより最適なタイミングで提供することが可能となる。

現在、薬事承認を受けている治療アプリとしては、「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」、「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」、そして「サスメド Med CBT-i 不眠障害用アプリ」の3つが挙げられる。さらに、多くのスタートアップ、大手製薬企業、医療機器メーカーが治療アプリの開発への取り組みを強化しており、将来的には多様な疾患領域での利用が期待される。本セッションでは、そのような治療アプリの社会実装の国内動向や課題に焦点を当てて紹介する。