一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-3-04] 糖尿病レジストリーの構築・J-DREAMSの経験

*大杉 満1 (1. 国立国際医療研究センター)

糖尿病の治療実態や合併症の状況を定期的に把握することは、現在の診療状況を評価・分析するだけでなく、経時的な比較を行う上でも必要で、合併症抑制などアウトカム改善のためによりよい診療指針を決定するために必須である。JDDMなど先行するデータベース研究では、入力の手間などの障壁は研究者達の不断の努力によって克服されてきた。そこで、データ入力の時間と労力を減らし、投薬や検査結果などの自動取り込みを行うことで、登録患者数・収集項目・データポイントの増加を容易にし、リアルタイムでの状況把握を行い得るデータベース研究が企画された。それが国立国際医療研究センター(NCGM)が日本糖尿病学会と共同でおこなっている、Japan Diabete compREhensive dabase project based on an Advaced electronic Medical record System: J-DREAMSである。患者の背景情報や日常臨床の状況は、糖尿病標準診療テンプレートを用いて入力し、SS-MIX2と呼ばれる標準データ格納システムを用いて蓄積され、多目的臨床データ登録システム(MCDRS)を使用してデータ抽出と送信が行われる。これにより現在約70病院を結ぶデータベースを運営している。J-DREAMSの構築やデータ入力から7年余りが経過し、探索的に患者の横断調査、ならびに糖尿病合併症のいくつかに焦点をあてた縦断解析を行っている。糖尿病腎症・糖尿病性腎臓病は、検査データの登録が十分に見られ、危険因子などについて多角的に解析を行っている。それらからわかる現在の糖尿病診療や合併症状況の一旦と、J-DREAMSを含めた疾患データベースの今後の課題を概説する。