一般社団法人 日本医療情報学会

[4-D-1-01] ePath基盤の発展的活用

*山下 貴範1 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター)

クリニカルパス(以下、パス)は、臨床現場に導入されて約30年が経過し、現在は電子カルテ上で電子パスが運用されている。蓄積されたパスデータの解析とパス改定から業務改善が可能となる。AMED ePath事業では、複数施設に跨ったデータの統合解析とエビデンス創出を目的として、データ駆動型事業の経験を基にデータ標準化や基盤仕様を検討した。医療プロセス管理の3層構造(対象者の望ましい状態 Outcome、その評価基準 Assessment、実際の行為 Task(OAT))を医療の基本単位とした標準パスシステムとePath基盤を実証病院に構築し、データ収集と統合解析によるLHSの実証を行った。
AMED事業後は、合同委員会の活動として継続しており、パスの交換や流通についての検討も進めている。ベンダーによってはePathを各社パッケージに実装しており、システムバージョンアップや更新のタイミングでePathが稼働できることが可能となった。
さらにePathは、RCB事業(医療者の業務負担軽減)やDCT事業(分散型臨床試験の基盤構築)、OATモデルの国際標準化事業、データサイエンス事業と連携している。RCB事業では、パスに加えて行動識別センターや問診AIを用いて負担軽減を考慮したパス改定に取り組んでいる。DCT事業では、治験ワークシートの実装にePathが採用され、臨床研究中核病院の電子カルテ内に実装し、分散型臨床試験の実証を実施している。ePathモデルの国際規格化の検討は、海外市場開拓としても重要である。対象範囲を入院診療のみならず、外来、治験管理へと展開も可能となり、本人による健康管理等へと応用することで、施設内パスからパーソナルヘルスレコード等にわたる医療健康プロセス管理へと拡張することが可能である。
今後、個人の生涯にわたる医療健康全体の管理プロセスへの応用が期待される。