Japan Association for Medical Informatics

[4-D-1-02] Learning Health System実践基盤としてのePathの利活用

*Yoshifumi Wakata1 (1. NHO Kyushu Medical Center)

Learning Health System (以下LHS)は日々の診療で得られたデータを蓄積し、それらの解析により得られた知識を直接診療現場に還元し、診療ルールの改善を図るサイクルを回す仕組みであり、より適切な医療の提供”を目指して臨床活動と知識生産の循環を目指すモデルである。 2021-2023年度の厚生労働科学研究(21AC1002)「標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究」(以下RCB事業)において、ePathを多施設データ収集基盤として利用しLHSの実践、LHSによる医師の業務負荷軽減とガイドラインの策定を試みた。 RCBではパスに設定した業務、検査、処方などの診療行為のうち削減対象となりうるものを機械学習法と変数選択法により特定する手法を確立した。その結果をもとに2023年度初めに対象施設のパスを改訂し、一定期間運用後、業務削減による負担軽減効果の検証を実施した。 実際の業務削減手順として、前述の手法による解析結果及び各施設のベンチマーキングからパス改定案を各施設の担当医療従事者に提示し、パス改訂に関する医療御従事者による検討を経て改訂を実施した。具体的なパス改訂の内容としては適正値変更、日数短縮、評価回数削減を実施した。、さらに、ICTを含めた削減シミュレーションの結果では、医師はPCIパスで9.0%、カテーテルアブレーションパスで11.6%の時間が削減可能との結果であった。 またこの結果を踏まえ来年度から始まる医師の働き方改革へのパス利用業務削減ガイドライン案の初版を今年度上半期に厚生労働省へ提出する 今回の研究事業を通してePathがLHS実践における基盤としての使用に耐えうることが示されたと考える。 今後もLHS実践を通した医療の質向上のため、ePathの普及、さらなる発展的利用の促進が期待される。