[4-D-3-02] 与薬前後の患者行動を可視化するデータ分析の試み
Medication, Patient Condition, Nursing Data Sets
看護師等の与薬行為には、その前提となる患者状態や看護師等の行動などの多くの背景が存在する。このため、薬剤DXを進めるにあっては、実際に行われた処方情報やその実施(服用)情報に限るのではなく、その背景を分析していくことが重要と考える。例えば、痛み止めを使ったのであれば疼痛スケールの値はどうだったか、解熱薬を用いたのであればそもそも体温は何度で服用後に何度まで下がったのか、あるいは下剤を出すまでに排便のない日は何日続いたのか、などの情報は、薬剤DXにおいても重要な情報であろう。こうした症状コントロール薬は、主傷病に対する薬剤ではないかもしれないが、現実的にはきわめて処方頻度の高いものであるから、医療経済的にも、患者ケア的にも、業務負荷軽減的にも、大事なテーマである。ただし、これまで予約前後の患者行動を分析するための標準的なデータセットが十分ではなかったので、こうした分析を行うことには限界があった。その転機として2022年にJAHISは、JAHIS技術文書「看護データセット適用ガイド」を公表し、こうした分析を行う機運が少しずつ高まってきた。そこで筆者らは症状コントロール薬に関する若干の改善活動の契機として、既存のデータの中でどのような改善が可能であるのか、試行的に検討してみたのでその経過を報告する。