[4-D-3-03] 医療機関と薬局の情報共有:トレーシングレポートの現状と展望
Drug Summary, Drug Information, Pharmacy, Medical Record Linkage, Quality of Health Care
薬剤師業務を遂行するにあたり医療情報システムの重要性は、近年の地域医療における薬局の役割の期待とともに、増してきている。これは患者の安全なケアを実現するためには、正確で迅速な情報共有が不可欠であるとの認識が深まっていることが一因と考えられる。地域と病院双方での薬物療法の均一性を確保するため、地域の薬剤師が気づいた点を病院の医療スタッフに連絡する方法として、トレーシングレポートが注目されている。
トレーシングレポートは、薬剤師が気づいた項目を医療機関に報告するための手段として利用されているものであり、薬剤師法24条に定められた「疑義照会」とは異なり、緊急性が高くない情報の共有が主な用途となっている。しかし、現在のトレーシングレポートの授受には課題があり、その要因からプロトコルに関する課題、送付側の課題、受領側の課題と分類できる。
プロトコルについては、多くの施設ではFAXを主な手段として利用しており、その効率性や即時性に問題がある。送付側の課題としては、診療報酬の影響によりレポートの質にばらつきが見られることがあげられる。受領側の課題としては、医師への情報伝達タイミングや情報の粒度についても問題があるため、トレーシングレポートによって得られた情報が十分に活用されていない恐れがある。
これらの課題を解決するためのアプローチとして、電子化があげられる。適切な標準化と共に電子化されれば、送付側の情報を過不足なく受領側で処理することが可能となり、効率性、即時性、レポートの質のバラツキといった問題は解決の方向に向かうと考えられる。一方、情報の真正性を確保するためには、オンライン資格確認等ネットワークやHPKIを用いた本人認証などの既存インフラを活用することも検討されつつある。
トレーシングレポートは、薬剤師が気づいた項目を医療機関に報告するための手段として利用されているものであり、薬剤師法24条に定められた「疑義照会」とは異なり、緊急性が高くない情報の共有が主な用途となっている。しかし、現在のトレーシングレポートの授受には課題があり、その要因からプロトコルに関する課題、送付側の課題、受領側の課題と分類できる。
プロトコルについては、多くの施設ではFAXを主な手段として利用しており、その効率性や即時性に問題がある。送付側の課題としては、診療報酬の影響によりレポートの質にばらつきが見られることがあげられる。受領側の課題としては、医師への情報伝達タイミングや情報の粒度についても問題があるため、トレーシングレポートによって得られた情報が十分に活用されていない恐れがある。
これらの課題を解決するためのアプローチとして、電子化があげられる。適切な標準化と共に電子化されれば、送付側の情報を過不足なく受領側で処理することが可能となり、効率性、即時性、レポートの質のバラツキといった問題は解決の方向に向かうと考えられる。一方、情報の真正性を確保するためには、オンライン資格確認等ネットワークやHPKIを用いた本人認証などの既存インフラを活用することも検討されつつある。