一般社団法人 日本医療情報学会

[4-D-3] 医療DX時代における薬剤師の役割と薬剤情報システムの課題

*小枝 伸行1 (1. 八尾市立病院)

薬剤が関わる医療情報システムは、電子カルテシステムと薬剤部門システムの大きく2つに区分される。電子カルテシステムでは、処方オーダと注射オーダ以外にも、処置、手術、指示など薬剤が関わるシステムが多い。また、アレルギーや副作用などは電子カルテではプロファイル情報として管理され、薬剤チェックが行われるが、課題も多い。2022年より運用が開始されたオンライン資格確認システムにおいては、過去の投与レセプト情報を確認することが可能になった。さらには、電子処方箋の運用では、直近の投与歴を確認することが可能である。  しかし一方で、電子カルテシステムやオンライン資格確認システムなどの情報化の波は医療の効率化や情報共有の面で多くの利点をもたらすが、その一方で課題も存在する。  薬剤情報は、常に情報が更新される。最新の薬剤情報でチェックを行わないと、様々なチェック機能が機能しなくなる可能性がある。  また、医療情報システムでは、患者に複数の薬剤が処方された場合や、既存の薬剤と新たな処方箋の相互作用が懸念される場合に、医療従事者に警告を発する機能があるが、チェックするためのデータ入力や、チェックの仕組みを理解していないと、警告の見落としや、うまくチェックがかからない可能性がある。  さらには、患者の特定の薬剤に対するリスクや適切な治療計画を正確に把握していないと、正しい情報共有が行えない。特に、医師や看護師との情報共有は必須である。  このように薬剤システムの利活用は、適切な使用や副作用の予防、薬剤の適切な管理、患者の安全なケアの提供に貢献するものであるが、これからの時代に薬剤師がどのような視点で、何に取り組まないといけないかについて、本セッションでは、医療DXにおける薬剤がかかわる医療情報システムのあり方と薬剤師の医療情報への関わりについて議論する。