[4-E-1-01] NDB研究の種類の特徴と課題
NDB, Secondary Use, Health Intelligence Cloud (HIC)
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は、2011年の第三者提供開始以降、さまざまな形式でデータ提供がなされてきた。利用環境の観点からは、データが直接利用者に提供されるか、あるいは利用者がNDB操作端末に出向くNDBオンサイトリサーチセンターとで区分できる。データが直接提供される形式においても、一定水準の抽出・匿名化が施されたサンプリングデータセット、依頼に応じて集計が行われる集計表、依頼に応じて個票が提供される特別抽出の3つにパターンが分けられる。いずれの形式にも利点と欠点があるが、特に、NDBオンサイトリサーチセンターについては、センターに利用者が出向かなければならず、一方でデータ処理に相応のリテラシーや処理時間が必要になるため、利用期間が6か月に制限されていることも相まって、利用者のアクセスに大きな課題を残していた。この課題を克服する形式として期待されているのが、医療・介護データ等解析基盤(HIC)である。承諾された利用者が個別にアクセスできるクラウド環境を準備し、利用者がデータの到着を待機したり、利用環境を構築したりする負担を省く可能性がある利用形式として期待されている。ただし、対象とするデータの容量等によっては、クラウドのスペックが追いつかない可能性がある。また、HICの機能拡充に伴い審査方法の見直しも検討されており、データ提供までの期間を大幅に短縮するための検討が開始されている。当シンポジウムは昨年度も医療情報学連合大会にて開催されたが、今回は、この1年分のNDBを取り巻く環境の変化、期待ならびに諸課題について、網羅的な紹介を行う予定である。