一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-3-02] 医療データ取扱専門家の育成に向けて

*山本 豪志朗1 (1. 京都大学)

本発表では,2019 年度に文部科学省の医療データ人材育成拠点形成事業の一つとして採択を得た関西広域 医療データ人材教育拠点形成事業(KUEP-DHI: Kansai Union / Kyoto University Education Program for Digital Health Innovation)に設置された医療データ取扱専門家育成コースについて概説します.本コースは,大学院生を対象とし,医療データを取り巻く法制やシステム,そしてその処理方法といった広い意味での取り扱い方を教示しています.コース全体を通して,次世代医療基盤等に蓄積される医療データを活用して医療データサイエンスの国際的な牽引役を担うべく,データが生まれてから活用されるまでの情報流を始点から終点までを確実に支え,正しく統制できる人材の育成を目的としています.具体的には,医療データ利活用基盤を構築・運用できる「基盤人材」,医療データ活用全体を律し,社会的コンセンサスを醸成する「統制人材」,データを適切に利活用できる「活用人材」となります.
本コースは,医学研究科および情報学研究科に跨る複合領域に追加履修コースとして受講生の従来の知識を相補的に埋めていくための教育キャリキュラムが必要であったため,基礎科目,必須科目,選択科目という階層を持った授業提供を行ってきました.2年間を通じて,医療データを取り扱うための基礎的知識・技術を体系的に学習できるよう,座学と実習を織り交ぜながら,医学,情報学,法制学を提供するよう構成しています.
本コースでは医療データを取り扱うという特性上,簡易かつ安心安全に利用できる医療データ処理環境の提供を行なっています.実習環境からデータを取り出せないようにしつつも,学習において貴重となる機微な医療データを学習に使える仕組みです.本発表では,これらの取り組みについても紹介します.