一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-3-05] 社会人向けインテンシブコース KUEP-DHI dot.b の概要

*中山 健夫1、加藤 源太2、植嶋 大晃3、森 由希子2、黒田 知宏2 (1. 京都大学大学院医学研究科、2. 京都大学医学部附属病院、3. 京都大学国際高等教育院附属 データ科学イノベーション教育研究センター)

近年、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)などの医療データ利活用の機運が高まり、民間企業を始め広範な利活用が期待されているが、医療データには診療の実態と乖離した情報も含まれ、それらを考慮せず分析すると結果の解釈を誤る可能性がある。しかしながら医療現場へのアクセスは限られており、民間企業社員が診療の実態と医療データの乖離を踏まえてデータ分析を行うことは容易ではない。 関西広域医療データ人材教育拠点形成事業ビジネス特化型インテンシブコース(以下、dot.b)は、医療データを正しく理解し、適切な分析と解釈を行える民間企業人材を育成するプログラムの開発を目的とした共同研究である。具体的には、民間企業から派遣された社員に対して、講義や実習、実際の医療データの分析だけでなく、診療現場の見学や、電子カルテを操作する実習を提供する。 2020年には9名(6社)、2021年には4名(3社)、2022年には8名(7社)が参加し、6ヶ月間のコースを実施した。参加した企業のニーズは、1. 医療データが生成される実態を知りたい、2. 医療データを分析する理論や手法を身につけたい、3. 実際の医療データを分析したい、4. 参加している企業間の繋がりを作りたい、というものであった。 医療データの利活用を推進したい民間企業に対して、分析の理論や手法と、診療の実態に基づく医療データの留意点を並行して教育することには一定の意義があると考えられた。プログラムは参加者や参加企業のフィードバックを受けて改善しており、2024年度はオンデマンド講義を積極的に取り入れ、内容を維持しながら期間を 4ヶ月に再構成して実施する予定である。