[4-E-3-10] Perspectives from Medical Affairs in global pharmaceutical company toward KUEP-DHI dot.b program
企業におけるevidence generation (EG)では1次データも2次データも利活用する。従来からの1次データを利活用したEGでは、データ収集に膨大な時間と手間を要するが、データにノイズが入らないよう研究目的に沿った形でデータが収集できる。対して、2次データを利活用したEGでは既にデータベースに溜まったレセプト情報等のデータセットを使うため、迅速に結果が導出できる反面、当初のデータの使用目的(医療費の費用清算)とは全く異なる用途(医学研究)にデータを利活用しようと試みることになり、データの適切な解釈には一定の見識が必要となる。 民間企業へのNDB利活用が2020年秋に開放されたのを契機に、2次データの更なる積極的な利活用を企業各社模索しており、2次データの解釈を見誤る危険性を正しく理解する必要性は増している。こうした背景の下、民間企業に在籍する非医療従事者に対して臨床現場を知る機会がdot.bプログラムで提供され、受講者はレセプト情報等のデータ生成過程を知れ、2次データの適切な解釈に必要なアプローチに触れることができた。このプログラムを通じ、2次データの特性を知る企業側の人間が増え、EG活動を適切に推進できるキーパーソンが育成されることは時流にマッチしており、貢献度の高いプログラムだと感じられた。 民間企業が創出するイノベーションに対して適切なEGが行われ、科学的に妥当な医学的解釈が付与されることは臨床現場に新しいイノベーションが正しく届けられる為に必要である。dot.bのような教育プログラムを通じて、医療従事者と非医療従事者が「イノベーションを創出するスキル」と「臨床現場で患者を診るスキル」、「医学研究を実施するスキル」を持ち寄り、公衆衛生の発展に寄与するイノベーションが社会により効率的に届けられるようになることを期待したい。