一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-1-03] FHIRを利用した「病理検体トレーサビリティ情報記録システム」の開発

*鈴木 一洋1、笠原 あや菜1、大浜 隆雅2、渡邊 一間2、原田 将希3、池畑 拓実2、熊谷 宗久2、小口 正彦1 (1. 公益財団法人がん研究会有明病院 医療情報部, 2. (株)インテック 社会基盤事業本部 第一医療ソリューション部, 3. (株)インテック 東地域統括本部 札幌センター)

Medical Informatics, FHIR, Specimen, Traceability

インターネットショッピングや宅配等において、注文の確定/在庫の引当/発送/配達予定日時(以後「トレーサビリティ情報」)を、ユーザがWebでいつでも自由に参照できることは、もはや珍しいことではない。しかし、医療機関においては多数の検体/医薬品/医療材料が移動しているにも関わらず、そのトレーサビリティ情報は十分に管理されているとは言い難い。そこで当院ではトレーサビリティ情報記録システムの開発を行い、内視鏡部門で採取される病理検体をターゲットにトライアル運用を開始した。 記録する情報は、誰(職員ID)、いつ(PCの現在日時)、何(検体ラベルのバーコード)、どうした(操作端末上で選択:検体未採取、部門内一時保管、病理部門へ搬送開始、病理部門受領)の4種類で、「誰」と「何」はバーコード読み込み、「いつ」は端末から自動取得、「どうした」は操作開始時に選択することで、記録のための操作者の労力が最小限となるように工夫した。 システムで利用するデータは、電子カルテで発行される病理組織診断オーダをIRIS for Health(以後「IRIS」)が受信し、それを内部でFHIRリソースに変換して保存する。オーダ情報のFHIRリースへのマッピングは、オーダ基本部分:ServiceRequest、患者情報:Patient、検体情報:Specimen、ステータス更新者:Practitioner、検体の置き場所:Locationとした。院内で開発したトレーサビリティ情報登録アプリケーションはIRISとjsonの連携を行い、オーダ情報の取得やトレーサビリティ情報の更新を行う。さらに、データ検索用のweb画面も開発し、検体採取日やステータスを条件に対象オーダの一覧を表示できるようにした。 2023年6月からテスト運用を開始したばかりであるが、大きなトラブルなく順調にトライアル運用をスタートしている。