一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-1-04] GS1バーコードとExcel VBAを活用した試薬管理システム
ー記録の正確性向上と業務効率化推進ー

*井上 卓1、坂根 潤一2、森里 幸1、松島 江理1、岩﨑 朋弘1、小野田 薫1、和久田 智江1、神園 万寿世1、河村 秀樹1 (1. 地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立こども病院, 2. 地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立総合病院)

reagent management , traceability, Excel VBA, clinical laboratory

【はじめに】ISO15189認定施設では、検査業務として臨床に提供する検査データの質だけでなく、それを担保する『管理の質』が重要視される。管理業務として試薬管理がある。1つの試薬に対してロット、期限だけではなく入庫記録、使用開始記録など様々な記録を維持管理していくことが必要とされる。しかし、これらの管理を手書きで行うことは業務負担や記録の正確性といった観点から改善が必要である。
【目的】効率的かつ正確な試薬管理確立のため、検査試薬のGS1バーコード及びExcel VBAによって記録業務を行う試薬管理システムの開発を試みた。
【方法】Excel VBAにより6つの機能を付与した。第1は、商品コードと試薬名を紐付けるための試薬データベースを構築する機能である。第2は、GS1バーコードを読み取ることで試薬名、ロット、期限を抽出・記録し、その試薬情報が記載された識別用ラベルを発行する機能である。第3は、職員番号によるログイン画面を作成し、データへのアクセス制限と誰が記録したのか管理可能にする機能である。第4は、データを保護することによる記録の書き換え防止機能である。第5は、識別用ラベルを複製できる機能である。第6は、期限間近、期限切れに対応し背景色を変更する機能である。また、ActiveXコントロールを使用し、視認性と操作性を向上させた。
【結果】GS1バーコードとExcel VBAを活用することにより、試薬に関する記録をバーコード読み取り作業のみで実施することが可能となった。また、データ管理により視覚的効果の付与が可能となり、試薬期限の認識が容易になった。
【結語】Excel VBAはExcelを使用できる端末であれば利用可能であり、開発環境や使用環境といった制限が少ないツールである。Excel VBAによる試薬管理システムは、記録の正確性向上と業務効率化を推進する。