Japan Association for Medical Informatics

[4-F-1-05] 医療器具関連サーベイランスにおけるデータ収集の環境構築とその効果

*Kazuko Tada1,2, hitomi osako2, kyosuke nakano3, takaaki ishigaki1, atsushi kuroki1, tadashi miyamoto1 (1. 兵庫県立尼崎総合医療センター 情報管理部, 2. 兵庫県立尼崎総合医療センター 看護部, 3. 兵庫県立はりま姫路総合医療センター 医療情報部)

device-associated infection, surveillance, hospital information system, visualization

医療関連感染サーベイランスは、感染制御プログラムを遂行し医療関連感染を低減させるうえで、重要かつ不可欠である。特に、医療器具関連サーベイランスによる感染発生状況の把握は、感染対策を評価する重要な客観的指標となる。このようなサーベイランスを実施するには診療データを収集することから始まるが、この作業には多大な時間と労力を要する。
 当院では、電子カルテシステムと重症部門システムにおいて、患者に挿入された医療器具に関する実施データが登録されており、感染管理システムでは医療器具関連感染サーベイランスを行うために情報を連携させている。これまでは、感染管理システムからのデータ抽出や抽出データの加工に時間を要するなどの理由から有効活用できず、1病棟のサーベイランスに留まっていた。そこで今回、効率的にデータを抽出し、全部署における医療器具関連サーベイランスを実施することを目指した。
 感染管理システムからは、病棟ごと、患者ごと、医療器具ごとの挿入期間が抽出できるため、毎月28病棟分のデータを出力し共有フォルダに保存し、これらのデータをマクロで取り込み、集計処理を実施する環境を構築した。具体的には、①月ごと、②病棟ごと、③医療器具ごと、④挿入部位ごとに、①使用日数、②使用比、③感染件数、④感染率、について俯瞰的に確認できるよう一覧化・グラフ化し、分析を可能とした。感染管理システムからのデータ出力は定型作業であることから、RPA(Robotic Process Automation)を導入しヒトによる作業を削減することで、作業時間を数日から概ね1時間に低減できた。その結果、各病棟の医療器具の使用比と感染率を算出し一覧化でき、ベースライン感染率の把握、その後の推移の容易な観察、タイムリーな現場へのフィードバック、アウトブレイクの早期発見に繋げることが可能となった。