[4-F-3-02] 遠隔ICUに必要なセキュリティとデータ利活用について
Tele-ICU, Digital Transformation, Patient severity assessment
遠隔ICUは複数施設のICUと連携をし、医師事務作業補助者、看護師、医師の多職種チームが重症患者を診療支援する遠隔診療のモデルである。この運用を行うために ①患者の映像用のカメラ、②EHR上の患者情報を遠隔から参照できる仕組み、③複数患者の重症度をスコアリングするシステム、④Web会議システムの4要素が必要である。これらの要素のうち、②、③の要素を実現するには施設間データ統合が必要となる。 横浜市立大学で構築した遠隔ICUでは、連携した4施設のEHRが同一企業であったため、データ統合のプラットフォーム構築を短期間で行えた。現在、4施設のEHRのデータは同じデータセンターに集約されており、そこで複数施設の患者を集約するプラットフォームの構築を行った。EHRのデータ統合により、患者背景情報、検査結果、バイタルサインなどの統合がされたが、重症度のスコアリングに必要な意識レベル、薬剤情報、看護観察項目などは連携ができていない。これらを手動入力で補完する際に、各施設のEHRのバージョン、入力方法の運用の違いが課題となり、運用の標準化も重要である。 今年度、新たに追加する施設のEHRは異なる企業であり、既存の企業とのデータ連携が困難なためデータ抽出は最低限に留まる予定である。今後、複数施設のEHR連携をしていく上で、現状のEHRのように多様性のある形式では、医療従事者の手動による入力に頼り、自動のデータ集積、利活用は困難である。また、サイバーセキュリティを考慮したシステム開発や保守には、システム導入コストの高騰が避けられない。遠隔ICUによる成果は確実に出ているが、現状はインセティング設計がされていない。今後の急性期医療現場におけるデータ利活用の活性化を図る上でも、医療DXに関連する評価が行われることを期待する。