一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-3-03] EHRのセキュリティと遠隔ICUの目指すもの
−サイバーセキュリティへの医療としての社会的評価の検討-

*長谷川 高志1、近藤 博史2 (1. 日本遠隔医療協会、2. 協立記念病院)

Telemedicine, Tele-ICU, Cybersecurity, Medical fee system, Medical-DX

遠隔ICUは医師の働き方改革などの課題に対する重要な手法として社会的に注目されている。しかし診療報酬化は端緒についたばかりで、評価すべき技術や負担に関する検討は十分ではない。特にサイバーセキュリティや医療DXは重視されながらも具体的な論点整理が進んでいない。そこで遠隔ICUについて、サイバーセキュリティと診療報酬など社会的評価のあり方を検討した。遠隔医療の診療報酬上の評価には、情報通信機器を用いた診察や遠隔モニタリングなどDtoP形態の尺度と、特定領域の専門的な知識を持つ医師と連携して行うDtoD形態の尺度など、診療に関する評価が立ち上がっている。一方で診療環境を管理する技術への評価は始まっていない。遠隔医療は情報流通による診療行為だが、診療情報の共有や通信、サイバーセキュリティなど、診療行為に直結しない尺度の検討は不足しており、検討の深化が望まれる。 遠隔ICUはDtoD形態の遠隔医療で、導入時に被支援施設と指導施設間のシステム構築や連携した診療手順の準備が必要である。日常診療開始後も、質管理や指導法の改善、共有する情報項目の追加、個人情報保護の保証など、医療者による管理と改善が必要な複雑な遠隔医療である。アクセス権限の設定、利用者の認証、通信路や通信する機器、VLAN、サイバーセキュリティなど技術的課題も、ベンダーなどに任せきりにせず、医療者が介在することが質向上に有益である。 遠隔ICUのトライアルから知見を積み上げて、具体的な評価尺度を検討し、遠隔医療に於けるサイバーセキュリティなど診療の管理や改善への診療報酬化など、社会的評価を確立したい。