一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-2-02] PHRにおけるeKYCを用いた医師アカウントの開設

*小西 正三1、岡田 佳築1、和田 聖哉1、杉本 賢人1、松村 泰志2、武田 理宏1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科, 2. 国立病院機構 大阪医療センター)

PHR, eKYC, identification

今日の医療では1人の患者が複数の医療機関にかかることが少なくない。長期にわたって患者の手元に残る記録となるよう、我々は民間Personal Health Record プラットフォームのひとつである医療情報銀行の構築をすすめてきた。これまでにアレルギー・禁忌情報、外来処方、検体検査結果などを医療情報銀行に連携し、患者が専用アプリを用いてスマートフォンで閲覧できるようにした。また、ある疾患・病態の診療に関わる一連の情報をひとつの診療課題として整理し、医療情報銀行に連携する仕組みも実装した。一方で患者が医療情報銀行に保存されたデータをより有効に活用するには、自身のデータを閲覧できるだけではなく、かかりつけ医などの「医師に見てもらう」仕組みが必要となる。従って、医療情報銀行に医師アカウントを設け、患者の意志により自身のデータを医師に共有する仕組みを開発することとした。しかし、他人のなりすましや医師資格の詐称があってはならない。そこで他人のなりすましを防ぐためにeKYC (electronic Know Your Customer)を用いた。eKYCとはオンライン上で本人確認をする方法であり、近年、銀行口座開設などにおいても用いられている。具体的には、スマートフォンで自身の顔と身分証明証を同時に撮ってアップロードすることにより、本人の同一性確認が行われる。書類の郵送による従来型の方法とは異なり短時間で確認が完了できることが大きな特徴であり、スマートフォンが主体のサービスである医療情報銀行に適した方法と考えた。また、医師資格の詐称を防ぐために、医師免許証のアップロードを必須とし、免許証の氏名と医籍番号を厚生労働省のデータベースと照合することで実在性を確認することとした。これらの方法により、他人のなりすましや医師資格の詐称を可能な限り排除して医師アカウントの開設を行うことができると考えられた。