一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-4-01] 医師の働き方改革を目的としたLearning Health System構築−ePathデータの活用事例−

*松本 晃太郎1、若田 好史2、野原 康伸3、中熊 英貴4、小妻 幸男4、管田 塁4、山下 貴範5、的場 哲哉5、坂本 和生5、橋之口 朝仁5、木下 郁彦5、竹中 朋祐5、荒木 千恵子5、劔 卓夫4、堀尾 英治4、岩谷 和法4、羽藤 慎二7、重松 久之7、山下 素弘7、村岡 修子6、杉田 匡聡6、副島 秀久4、中島 直樹5 (1. 久留米大学 バイオ統計センター, 2. 九州医療センター, 3. 熊本大学 大学院先端科学研究部, 4. 済生会熊本病院, 5. 九州大学病院, 6. NTT東日本関東病院, 7. 四国がんセンター)

Leaning Health System, Boruta, Reducing Clinician Burden

ePathデータは電子カルテトップ4ベンダと4施設が参画して開発された、電子カルテベンダ共通仕様の電子クリニカルパスデータを軸とした統合データベースである。本研究では、医師の働き方改革に主眼を置き、業務負担軽減用の改訂パス作成を目指した。解析対象は、2019年4月から2023年1月に患者同意の取れた胸腔鏡下肺切除術パス(以下、VATSパス)、経皮的冠動脈形成術パス(以下、PCIパス)、経皮的心筋焼灼術パス(以下、RFAパス)適用症例とした。それぞれ616例、528例、1007例であった。目的変数としてパス設定日数越の有無、在院日数の長さが上位5%以上の有無、治療後のEFファイル総出来高点数上位5%以上の有無の3つを設定した。説明変数はパスデータに加えて各種DPCデータ等を加えた高次元リアルワールドデータを用いた。機械学習モデルはXGBoostを用い、変数寄与度はSHAP法により算出した。さらに、高次元データに対してアウトカム寄与度に基づく振るい分けの判断を行うため、変数選択手法のBoruta法を採用した。Boruta法によりアウトカム寄与度が低いことが想定されるパス設定項目を抽出した上で、専門医を含めた検討会を実施し、最終的に業務負担軽減用のパス改訂を行った。VATSパスでは末梢循環障害の症状所見、術後2日目以降の不整脈の症状所見や創部所見の削減を行った。また、副次的に術後在院日数の短縮も実現した。さらに、PCIパスやRFAパスでは、循環動態や呼吸状態に関して重複していた観察項目の統一が行われた。本研究ではパス改訂を通して、主に看護師の負担を削減し、派生的に医師のタスクシフトを期待したものである。今後は、医師の直接的な業務量削減を目的として、医師行動識別センサデータも交え、総合的な解析を実施する予定である。