一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-4-02] 標準化クリニカルパス「ePath」を基盤としたアウトカム予測とクリティカルインディケータ探索手法

*藤 沙織1、松本 晃太郎2、山下 貴範3、若田 好史4、野原 康伸5、橋之口 朝仁3、木下 郁彦3、竹中 朋祐3、鴨打 正浩1、中島 直樹3 (1. 九州大学大学院 医学系学府, 2. 久留米大学 バイオ統計センター, 3. 九州大学病院, 4. 九州医療センター, 5. 熊本大学 大学院先端科学研究部)

ePath, VATS, Machine Learning

【背景・目的】
2018年度〜2020年度のAMED ePath事業で構築されたePath基盤には、クリニカルパスデータを中心に、DPC、SS-MIX2等のデータが蓄積されており、多施設での統合解析や汎用性のある解析手法の開発が可能である。本研究では胸腔鏡視下肺切除術(VATS)パスデータを対象に、機械学習を用いた解析方法を適用し、アウトカム予測の最適化とクリティカルインディケーター(CI)の探索を試みた。
【方法】
九州大学病院に入院したVATSパス適用患者を対象に、ePath基盤からクリニカルパスのバリアンスデータ、DPCの様式1、H(B項目)、EF(診療行為、薬効分類)、SS-MIX2検査データを抽出し、データセット化した。目的変数をドレーン抜去の遅延として、約1000個のデータを説明変数として関連する因子を探索した。単変量解析によって有意となった変数を用いて、Lasso、Ridge、Elastic Net、Random Forest、GBDTの5種の機械学習アルゴリズムによるアウトカム予測モデルを構築した。判別能はROC 曲線下面積(AUC)により検討した。
【結果】
欠測値、サンプル数を勘案して予測モデルを最適化した結果、各モデルの交差検証AUC値は 0.77~0.83となった。各予測モデルにおける説明変数の標準偏回帰係数、変数重要度を比較することで、ドレーン抜去の遅延に関連する因子が抽出された。これらの因子のうちバリアンスの仮想値をシミュレーションすることでCI候補が得られた。