Japan Association for Medical Informatics

[4-G-4-06] 集中治療室における短期的な死亡を予測する再帰型ニューラルネットワークを用いた動的予測モデルの提案:MIMIC-IVデータベースを利用した後方視的コホート研究

*Yuta Nonomiya1,2, Kenta Yanagi3, Kaori Kuriu4, Tokio Uchida5, Yuichiro Iwashita5, Fuminori Fujiwara4, Kanta Yamaoka6, Shoya Ishimaru5, Soichiro Nakako1,2, Hiroshi Okamura1,2, Masakazu Iwamura5, Koichi Kise5, Ayumi Shintani1 (1. 大阪公立大学 大学院医学研究科, 2. 大阪公立大学 医学部附属病院, 3. 大阪公立大学 工学部, 4. 大阪市立大学 医学部, 5. 大阪公立大学 大学院情報学研究科, 6. 大阪府立大学 工学域)

Dynamic Prediction, Recurrent Neural Network, Intensive Care Unit, MIMIC-IV

【背景】集中治療室(ICU)に入室する患者の状態は刻々と変化する。各時点での重症度を評価するため、最新の情報を得る度に予測を更新(動的予測)するモデルが考案されているが、研究デザインの問題で短期的な死亡リスクは十分に評価できない。本研究では、ICUで取得される患者の静的情報と時系列情報を元に各時点での短期的な死亡を予測する動的予測モデルを提案する。
【方法】MIMIC-IVから、ICUに48時間以上入室している19歳以上90歳未満の重症患者を特定し、train、validation、testに70%、15%、15%の割合で無作為に割り当てた。特徴量として、年齢、性別、人種、バイタルサイン、血液検査値を抽出した。バイタルサインと血液検査値は各患者1時間毎に測定された時系列データとして扱った。検査値の欠測は直近の過去の検査値で補完した。再帰型ニューラルネットワーク(RNN)をベースとしたモデルで各時点から24時間以内の死亡を予測するように学習した。単純なRNNだけでなくLSTMや GRUを用いたモデルも検討した。予測性能はROC曲線下面積を用いて評価した。
【結果】21637人の患者が抽出された。9264人(42.8%)が女性、年齢の中央値は66(IQR 55-76)歳であった。ICU入室期間の中央値は90(IQR 63-157)時間であり、1946人(9.0%)がICU退室1日以内に死亡した。RNN、LSTM、GRUそれぞれのモデルについて、testでのROC曲線下面積は0.8640、0.8656、0.8717であった。
【結論】ICUにおける短期的な死亡を高い精度で予測するRNNベースの動的予測モデルを開発した。単施設の研究であり、結果の一般化には更なる外的検証が必要となる。また、医療への実装に向け、本モデルを臨床医が使用し、使用感や患者アウトカムへの影響を調査する必要がある。