一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-4-07] 機械学習による心不全症例の在院日数検討

*坂本 幸平1 (1. 国際医療福祉大学 医療福祉学部 医療福祉・マネジメント学科)

Heart failure, Mechanical Learning, Number of days in hospital

【背景と目的】超高齢社会となった日本において心不全の患者数が増加している。本研究では、心不全入院患者の在院日数規定要因について、機械学習を活用して検討することを目的とした。
【方法】分析対象は2016年10月1日~2017年3月31日までに退院が完了したDPC6桁コード050130(心不全)の213例(死亡退院を除く)とした。
分析方法は、基本統計量を確認後、入院期間Ⅱ越えの有無の要因を検討するため、2群へ分類し機械学習の一つであるランダムフォレスト法で分析し、各変数の特徴量重要度を求めた。また、予測モデルの正解率算出には深層学習(Deep Learning法)を使用した。本学および各医療機関の倫理審査委員会の承認後、データを取得した。
【結果】分析データの平均年齢が79.7歳、平均在院日数は19.6日、男性119例、女性94例、手術適用23例であった。入院期間Ⅱ越えの有無を目的変数とした分析では、特徴量重要度スコアが高い順に、画像診断料、検査・病理診断料の診療報酬点数が、患者属性では入院時年齢、収縮期血圧、心不全の発症時期、併存症にCKDがあること、入院時killip分類などの結果を得た(R2値=0.92)。また、深層学習では、正解率 (Accuracy) =0.94の結果を得た。
【考察】機械学習による分析の結果、年齢や心不全の発症時期、CKDの併存があること
などが在院日数延長と関連していることが考えられた。また、診療報酬点数の項目からは、画像診断、検査などが関連し、これらには詳細な検証が必要となった。分析結果の妥当性について、判別モデルでは比較的良好な正解率を得られた。
【結語】機械学習を活用し心不全の診療データを分析したが、在院日数の規定要因は、年齢や心不全の発症時期、併存症の状況が関連し、検査や画像診断の実施状況も検討の可能性があると考えた。