一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-4-02] 小児救急医療電話相談支援システムの構築

*久喜 誠一1、山田 春奈2、花田 英輔3 (1. 佐賀大学大学院 理工学研究科, 2. 佐賀大学 医学部, 3. 佐賀大学 理工学部)

Pediatric emergency medical care, AI, Chatbot, Q&A system, Document Search

本研究は、小児救急医療電話相談の対応者の支援を目的としたシステム構築であり、最終的には対応者の回答の質の向上と平均化・平準化を図る。現在は附属病院の看護師や看護学科の教員、大学院生が相談に対応している。本システムはインターフェース部とチャットエンジン部から構成され、インターフェース部にはAI-Brid(木村情報技術株式会社)を、チャットエンジン部にはWatson(IBM)を使用している。AI-BridのUI(質問入力と回答表示)はWebブラウザである。AI-Bridは1問1答型と文書検索型を組み合わせたハイブリッドAI検索システムであり、1つの検索窓でそれぞれの検索が可能である。管理者は、想定される質問と回答及び文書データを、AI-Bridを通してWatsonに予め学習させる。各回答にはIDを付与しており、想定質問と対応する回答を結びつけ、1つの回答に対し複数の言い回しによる質問が入力された場合も、同じ回答を返すことを可能とする。AI-BridはIDと想定質問、回答を保持し、Watsonは入力された想定質問の解析結果とIDを保持する。AI-Bridが持つ回答タイプには選択肢形式が存在し、回答時に利用者に対する質問を可能とし、利用者の質問を深掘り可能である。利用者がAI-Bridに対して質問を入力すると、Watsonは質問を解析して学習済データと比較し、IDと確信度をAI-Qへ返す。確信度とは、質問者の質問と学習済質問との類似度である。AI-BridはWatsonから得たIDに対応する回答と確信度を表示する。1問1答型には過去の対応記録に基づく事例及び電話対応相談者の確認すべき事項と対応方法を、文書検索型には各症例別の基礎知識を取り入れている。システム構築は終わっており、今後実環境での本システムの試用によって得られる結果・問題点を踏まえ、改善を試みる予定である。