一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-4-03] 電子問診票を利用した栄養指導への活用の取り組み
~食嗜好質問票と食行動質問票の電子化~

*村田 泰三1、石井 美佐子1、向井 頼貴1、阪本 陽子1、藤井 歩美1、岡田 佳築2,1、武田 理宏2,1 (1. 大阪大学医学部附属病院, 2. 大阪大学大学院医学系研究科)

Nutritional guidance, Electronic medical questionnaires, Template citation function

栄養指導において、患者の食事の好みや食習慣を知ることは、患者自身の食生活の見直しを図るためにも重要な指標となる。食嗜好質問表と食行動質問表(以下、質問票)は、それぞれ選択式の設問に答え、その結果から、患者の食事の好みは、糖質、脂質、タンパク質、食物繊維、甘さを組み合わせた項目からカテゴリ分類され、食習慣は、体質や体重に関する認識、食動機、代理摂食、空腹・満腹感覚、食べ方、食事内容、食生活の規則性のカテゴリ分類し、レーダチャートに図示する。これまで紙の質問票を一部の患者に利用していたが、回答結果の転記と集計が必要であり、患者へフィードバックする労力が大きかった。また、集計結果を診療録として保存できていないことが課題であった。
 そこで、電子問診票システムを用いて質問票の電子化を図った。電子問診票は、電子カルテのテンプレートをWebアプリケーション化したものであり、iPadを用いて回答する。電子問診票で登録されたデータは、医療スタッフが確認画面で確定登録すると、電子カルテのテンプレートデータと同じデータベースに格納される。このデータを文書作成システムからデータ引用を行った。文書作成システムは、Excelを元にフォーマットを作成でき、グラフ描画が可能である。この機能を用いて、引用したデータを集計し、レーダチャートを作成した。レーダチャートは、過去3回分の回答結果と当院で集計した基準値を同時に描画することで、基準値との差を可視化した。
 2023年04月より運用を開始し、2ヶ月間で93人の患者が利用した。本システムにより、栄養指導の待ち時間に質問票を登録し、栄養指導時には、結果のフィードバックが可能となった。文書作成システムで質問票を保存したことで、診療録として保存も実現した。
 質問票を電子化してスコア化したICTを活用した本事例は、患者にとっても医療者にとっても有効的な取り組みとなった。