Japan Association for Medical Informatics

[4-H-4-04] 離島・へき地における在宅サービスの充実が介護給付費に及ぼす影響

*Mayumi Suenaga1, Takashi Iwaanakuchi2, Yumiko Uto2 (1. 与論町社会福祉協議会, 2. 鹿児島大学病院医療情報部)

remote island, home service, Nursing care benefits

地域包括ケアシステムの充実が各地で進められているが、離島・僻地においては各種サービス特に在宅サービスが整っていないために利用できるサービスが限られていることが多い。小規模離島である当町で訪問看護、訪問介護を新たに開設し、これまで病院や施設に入所していた方々が自宅で生活できるようになった。本研究では、このような取り組みが施設サービスや家族介護に依存していた町の介護給付費に及ぼす影響について明らかにすることが目的である。 【対象と方法】厚生労働省の統計情報・白書、介護保険事業状況報告に公表されているデータを抽出し、給付費総額、居宅サービス給付費、施設サービス給付費などについて訪問看護ステーションの開設前と開設後の最新のデータを比較した。 【結果と考察】その結果、給付費合計は359.7万/月減少、居宅サービスは4.6万/月減少、施設サービスは381万/月減少していた。在宅サービスの内訳は、訪問サービスは28.2万/月増加、訪問介護は62.4万/月減少、訪問看護101.3万/月増加、通所介護10万/月増加している。訪問看護ステーションを2カ所開設したことで、これまで訪問介護で担っていた生活支援が、訪問看護によって体調管理や薬物を含めた管理に変わったこと 、これまで施設に入所せざるを得なかった高齢者が自宅に戻り、施設給付費が大幅に減少し、全体の介護給付費の減少につながったことが考えられる。訪問看護サービスの給付費は増加しているが、介護給付費の合計が大幅に減少していることは、今回の取り組みが効果的であったと評価できる。しかしながら、一方では、COVID-19の感染拡大で入院や医療保険での訪問看護の利用もあり、介護給付費の比較だけでは限界がある。今後、訪問看護ステーション等の在宅サービスの充実が、離島・へき地における費用対効果として医療費および介護費に及ぼす影響を評価していきたい。