一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-4-05] 腎移植における電子レセプト収載率の分析

*菅野 沙帆1、野田 龍也1、明神 大也1、西岡 祐一1、今村 知明1 (1. 奈良県立医科大学)

administrative claims database, renal transplantation, digitized claims data

【目的】 医療事務の効率化を図るため、電子レセプトの請求が進められており現在紙レセプトによる請求は全医療機関の約3.5%とされている。一方、一部の医療機関は紙レセプトで返戻再請求を行っている。本研究では、高額医療費のため、返戻及び紙レセプトによる返戻再請求となる可能性の高い腎移植に注目し、日本臨床腎移植学会と日本移植学会の報告する腎移植患者数とNDBで集計した腎移植患者数を比較することで、腎移植における電子レセプトの収載率を検討した。 【方法】 2014年4月~2020年3月のNDBの医科・DPCレセプトを使用した。腎移植患者の定義は、集計対象期間に腎移植の診療行為が1回以上付与されている患者とした。この患者数を年度、性・年齢別に集計し、日本臨床腎移植学会と日本移植学会の報告する腎移植患者数(暦年別)と比較した。 【結果】 年度別腎移植患者数は2014/2015/2016/2017/2018/2019の各年度で321人/433人/450人/455人/469人/515人に対し、学会の報告では1606人/1670人/1648人/1742人/1865人/2057人であった。集計期間の単位(年度、暦年)に差があるが、学会報告に対するNDB集計値の比(電子レセプト収載率の簡易指標)は20%/26%/27%/26%/25%/25%であり、年齢階級別にみると0~9歳/10~19歳/20~29歳/30~39歳/40~49歳/50~59歳/60~69歳/70歳以上で、27%/29%/19%/20%/26%/28%/33%/43%であった。 【結論】  腎移植において電子レセプトでの請求は全体で25%前後と低く、請求の多くが紙レセプトによるという現状が推測された。医療事務の効率化や電子レセプトの一元的な管理を目指し、電子請求への統一を進める必要があると考える。